なるほどとは?

「全国こども電話相談室」というラジオ番組をよく聞いていた。夏休みには、故郷の信州へ帰ることが多かった。よくあることとは言え、その時期に中央高速道路を車で走ることは決して心地の良いものではない。都心から離れていく車があまりにも多く、混雑しすぎている。そんな時に私は、都会に林立するマンション群を見るよりも、満員電車の中で人混みに左へ右へと揺さぶられるよりも、スタジアムでスポーツ観戦するよりも、感じることがある。「私の周りにはこんなにも人が多くいたんだ」と。

FMラジオから流れくる軽快なボサノバの音楽も、リズミカルなロックも、クールなジャズも、目の前に永遠に続くかのように伸びている車の列を見ているだけで聞いていられなくなる。ましてや、ラジオパーソナリティーのしつこい声色と虚ろな話は耐えられない。ラジオのスイッチをOFFにする前に、そいつの後頭部をハリセンで叩きたくなる。「君がその話を続けるのはいい。でも、頼むから、俺に一発お見舞いさせてくれ。後ろから思いっきり」と言いたくなるのだ。もちろん、それは私の心の内での出来事だ。

そんな時に「全国子ども電話相談室」を思い出したら、それは私にとっては救いに近い。子どもの問いは、あまりにも荒唐無稽であり、奇想天外であるだけに、愉快だ。そうした子どもの問いに答える先生方の中で何と言っても私が好きだったのは、無着先生だ。無着先生は、子どもの問いを全て受け入れる。おそらく無着先生は、子どもの問いそのものよりも問いを繰り出す着眼点を面白がっているように思える。だから無着先生の答えは、「合いの手」である。さらに言えば、子どもと無着先生とのやりとりは、「とんちの知恵比べ」に近い。つまり、問いや答えそのものにはあまり意味がない。大事なのは、どこから来るのかわからない子どもの「謎かけ」に「いかに面白く返えすか」なのだ。

子どもは成長するに従い、自分の体の変化を敏感に感じ取るようになる。男の子も女の子も自分の気持ちと体の動きとに起こる微妙なズレを体験するようになる。大人になれば、心と体の動きが「ある特別な状況と場面」によって一致しないことは誰もが分かっているが、子どもはそうではない。その不思議さを恥ずかしげもなく(恥ずかしいなんて気持ちは全くないのだ!)ラジオ番組で、しかも電話越しに「謎をかけてくる」。そうしたジャンルに答えられるのは、もちろん無着先生しかいない。

例えば、「こんなやりとりがあった」と、例にあげたいのだが、大人になった私は恥ずかしくてここに紹介できないのが残念だ。しかし、車の運転席でニヤリと笑ったり、爆笑したりしたことは偽りのない事実だ。もちろん、そんな顔を他の誰にも見られたくはないが。

HomeTownNoteの「なるほど」は、自分が暮らす村や町の物事や出来事について、わからないことや不思議に思ったことを問いかけ、答える、そうしたやりとりを会員同士でできるようにしたものだ。わからないことを教えてくれた人に「ポイント」を贈ることでその感謝の気持ちを表すことができる。多くのポイント数を得た投稿は、TOPページのランキング内の「なるほど」欄に表示される。それが結果的に地域の新しい魅力として注目されることを願っている。問いに対して正確な答えが寄せられることはありがたいことだが、まずは自分が投げかけた問いを快く受け留め、答えてくれた人に、素直に感謝の気持ちを伝えるために「なるほどポイント」を使って頂ければ嬉しい。

「謎かけ」が面白ければ面白いほど、「返し」も面白くなるはずだ。

映画作家 由井 英 2020.1.1