諏訪式。書評

場所:長野県茅野市

記憶:令和(2019〜)

その他

諏訪式。 書評 藤森照信 宇野重規

諏訪式。が初版3刷になり、帯が変わりました。言葉を寄せて頂いたのが、茅野市出身の藤森照信さん(建築家・東京江戸博物館館長)、宇野重規さん(東京大学教授)です。

 

諏訪式。が諏訪地方にお住まいの方々のみならず、その他の地域にお住まいの方々にとっても、足元の暮らしを見つめ直すきっかけとなることを願っています。また諏訪式。という本を深く読み解く方々の独自の視点は、本の書評という枠組みを遥かに超えて、これからの生き方を模索している私たちに大いなる示唆を与えてくれていると信じています。

 

 

この一冊がこれからの諏訪の方向を決めてくれる。 

藤森照信|建築家・江戸東京博物館館長

 


 外からの刺激、受け入れる風土 
 小倉美恵子は『オオカミの護符』で、日本の伝統的な村落に存在した講と呼ばれる信仰に基づくネットワークの豊かさを、私たちに教えてくれた人だ。同時に川崎市北部の地域に根差して映画製作活動を行っている。その小倉が長野県の諏訪地方に着目したという。これは面白いはずと思い本を手にとった。
 諏訪は、セイコーエプソンなど世界的な精密機械工業を生み出すと同時に、岩波書店、みすず書房など日本を代表する出版社の創設者を輩出した。その秘密は自主独立を旨とする「百姓」が、外から来た近代科学や学術を受け入れる一方、自らの地域や風土と向き合い、その両者を結びつけたことにある。
 本書はさらに、アカデミズムに親しみつつ、自力で考え工夫し続けることの意味、土地に根差した文化や、ものの見方を持つ「軸足のある人」を、今こそ取り戻す必要があることを説く。コロナ危機以後の社会を考える上でも示唆的だ。 

 

(評者: 宇野重規 / 朝⽇新聞掲載:2020年11月28日、朝日新聞の転載許可済み)


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