地域 神奈川県川崎市高津区

【2025/4/5】土曜日の会

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その他

令和(2019〜)

今回の内山 節氏と由井 英氏の対談は、西洋基盤の物質本質論と日本(東洋)基盤の関係本質論の違いを踏まえて、現代に生きる私たちが今どこにいるのか、そしてどうしていったらいいのか、を考えていく上で、とても示唆の在る内容だったと思いました。

 

私自身、企業社会や現代の地域社会の中で、権利や制度のもとに個の利己心を極端に追い求めていくことを当たり前とする世界にどっぷりと浸かりながらやってきました。自分自身の内側の深い部分に「内なる自然」がどうもあるようだ、ということが何となくわかっていましたが、やはり現実の中で、それとの関係を断ち切ったまま生きてきてしまった。そうしなければやっていけない、ということでもありました。そのような根無し草的な私(たち)が再び、何か根源的な基盤のようなものとの繫がりを回復することは可能なのか?できるとすればどうすればいいのか?ということを大きな問いとして持ち始めています。「内なる自然」との関係を断ち切って生きてきた私(たち)は、どのようにその関係を取り戻していけばいいのか?そういう問いに対して、私自身は答えもみつからないまま、ただ右往左往しているだけなのですが、今回の対談の中で、いくつか強く印象に残った言葉がありました。

 

「自然信仰が拡がってきている」。西洋思想、特に近代以降の西洋思想が蔓延している今の日本の中に、日本の伝統的な自然観(じねん)や宗教観が、“自然信仰”という形で少しづつ自然発生的に拡がってきているとのことを言われていました。やはり近代の行き詰まりを強く感じ、根源的な本来的な何かを探り始めている人たちが増えてきたのだ、と感じました。自分もその一人なのだと思います。

 

「矛盾を矛盾のまま平気で言える力を身に着ける」。近代制度や民主主義、論理的・合理的な考え方と日本の伝統基盤の両立は、当然、矛盾を抱えることになります。ですが、それをそのまま受け取る力を身に着ける。現実を1つの地平のみで捉えず、つまり目に見えるものだけが現実なのではなく、目に見えないものも含め、現実だという見方を取り入れていく、ということと理解しました。見えないものを見ていく力が必要なわけですが、しかしそれをどうやって?というのは正直難題です。手探りで探っていくうちに何かが見えてくるのでしょうか。

 

「自ら場を創る」。伝統基盤との関係が切れてしまっている根無し草としての私(たち)が、切れてしまった関係を嘆いていても仕方がない。関係が切れているなら、一から結び直していく。最初は皆そうやっていたのだ、と。自治の拠点、あるいは人が自然と繋がる場、それは“もともとあった”のではなく、その場を人々が創るところからはじまった。関係を断ち切ってしまったという自覚があるのなら、その関係回復の場を今から創ってゆけばいい。かつての日本の伝統基盤などもうほとんど残っていない、かつての共同体、人と人の関係、人と自然の関係など、もうほとんどない。それを嘆くのではなく、それなら新しく創っていく、そういう当たり前のことに気がついていませんでした。また、そこには“ホラ吹き”の存在が重要だということも言われていましたが、これは、見えないものが見えている人のことだと思いました。本当のことが見える人、ですね。

 

対談の最後で、由井氏は、この「土曜の会」が、その新しい場なのではないか、ということを言っておられたのがとても印象的でした。何か根源的な基盤を探りながら、場を新たに創っていく、ということをされているのだ、ということを強く感じました。

昔はよかった、ではなく、今、私たちはどうすればいいのか?それを考えていくヒントをいただいた時間でした。どうもありがとうございます。

浦山哲爾

 

2025/04/15

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