私は今デンマークのエコビレッジに有機農業ボランティアとして来ている。早2週間が経った。
「オーガニック先進国デンマークの有機農業とはどのようなもの?」
「寒い地域の農業で何が育つの?」
などといった疑問を抱きながら上陸した。
私のいる場所では約200haの圃場を持っている。そこで作った野菜はエコビレッジ内で住民が消費したり、カフェで使用したり、一部ストアで販売したりしている。
デンマークの土は、根菜類が得意という話を事前調べで情報を得ていたのできっと芋ばかりあるのだろうくらいに思っていたが、2週間芋は掘っていないし、収穫物は根菜類ばかりではない。意外に色んなものがある。
基本的にモノを運ぶ以外の作業は全て人力である。播種も除草も収穫も袋詰めも手で行っていく。(耕運はトラクターを使用していた)
最初の3日間は、ひたすらにんにくの植え付け作業を行った。約5人の人手で1万個の植え付けをした。広い農場に、ひたすらにんにくを植えていく。穴を開ける人、種を置く人、覆土する人に分かれてただひたすら土に這いつくばる。「エレファント」と呼ばれる巨大品種や、「コンポスト」と呼ばれている有機堆肥利用を試みたもの、「コリアン」と呼ばれる韓国式自然農法を実践したものなど、数種類を試してどれが良いのか実験しているようだ。
冬は曇りや雨が多いデンマークの中で、ここの土は粘り気があり常に湿っている。土質について尋ねてみると、砂質だったり粘土質だったり場所によって全く異なるから難しいと言っていた。寒いからなのか、虫はあまりおらず、土中に確認できたのはみみずと幼虫がほぼ大半。日本でよく見ているダンゴムシもいない。葉物野菜には大量のナメクジ(彼らは"snails"と言っていたけど、どう見てもナメクジなのは気のせいだろうか…笑)がいる。
収穫作業もある。グリーンケール(kale)、山わさび(horseradish)、ネギ(leek)、カーボロネロ(palm kale)、フラワースプラウト(flowersprout)、トマトなどなど。日本では見ない野菜や、葉物野菜が多い。11月でも約18種類の収穫物がある。ちなみにこの時期にトマト(ハウス栽培)が採れるのは異常だと言っていた。例年に比べて、ここも気温が高いらしい。
そしてこの1週間でぐっと寒くなった。雪が降り、気温も氷点下から3度くらいを行ったり来たりしている。
雪が積もる中のフィールド作業はなかなか堪えるが、「コーヒーブレイク」と言ってコーヒーを飲みながら休憩する時間が必ず毎日あり、身体を温めながら作業を進める。冬は日照時間があまりにも少ないため、太陽が出るとみんな踊り始めるし、私自身こんなに太陽のありがたさを感じるとも思っていなかった。
他にも15m×80mくらいの虫よけの巨大ネットを移動させたり(これが地引網漁あと思うくらい大変)、いちごの苗の周りにまとわりつく雑草をより分けながら除草したり、野菜の寒さ対策に藁を敷いたり、収穫物を袋詰めしたり・・・。
2週間を終えて、やっぱり農業は地味だと思った。しかしだからこそ、その中に面白さが詰まっている。という感覚は、日本以外の農業でも変わらない。日々新しい発見の連続で楽しいし、継続してみていくことが大事だなと思った。
まだまだ気になることは多い。ここからも引き続き観察を続けたい。
松田理沙
由井 英
川崎市宮前区
2024/11/24
理沙さん、投稿をありがとう。
粘土質の畑にもかかわらず、畝は低いですね。湿気はどのように排水しているのか気になります。それとニンニクを植えるときの穴の間をとる目安の竿ですが、竹のように節があるようですが、何の材なのかも気になります。広大な畑でしかも冬の作業はかなり身体に堪えるでしょう。それだけに身体から学ぶことは貴重ですね。
ところでエコビレッジというのはどのような組織形態の集落(共同体)になっているのでしょうか。そこに暮らしている皆さんの拠り所になっているのはどういったものなのでしょうか。