地域 神奈川県川崎市宮前区

【250916一枚の畑から】畑のバランス

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植物・農作物

令和(2019〜)

準備

今日の「一枚の畑から」の準備は2週間前に種を購入するところから始まっていた。
「野口種苗」、「グリーンフィールド」、「たねの森」からそれぞれ買うことにした。同じ種でも内容量や発芽率が異なっていて、どれを買うかかなり吟味した。採集された場所によっておそらく全く違う種だろう。ひとつとして同じ種はなく、代を重ねて変化していく。その一瞬を「一枚の畑」は切り取っているのだと思うと、大袈裟でなくとも、時間の流れのなかに位置づけられていることを感じる。

 

当日までに揃った種は、ビオラ、ジャーマンカモミール、エキナセア、カレンジュラ、ハーブセロリ、オレガノ、秋づまり大根、春菊である。春菊は春に自家採種したもので、ついに播種できることを感慨深く思う。

 

人参の仇を討つ

大根と春菊は直播きする。先月播種した人参はほとんど芽が出ていないか、芽が出ていても虫に食べられている。芋虫が好んで人参の葉をたべるという。厳しい戦いだが、こちらもめげてはいられないので、人参の畝に重ねるように大根を播種する。キク科の春菊は、虫を寄せにくいということでコンパニオンプランツ的な働きがあるかもしれないと、大根と春菊の種を混ぜて播種したり、一列ずつ交互に播いたりしてみる。実験、実験。来月のレポートで結果発表したい。最後は萱を薄く敷いて、暑くなりすぎないようにした。

 

畝の全体性

さて私たちが混植している畝はどうなっているのだろうか。(添付の絵が畝の様子)
ひときわ森のように茂って見えるのは、大豆だった。木のように太い茎でその体を支え、こんもりと青々しく成長している。茂みをかき分けると房がなっていた。これが枝豆だ。ひょろひょろと芽がでた6月からここまで大きく育つとは想像していなかったので嬉しく思う反面、これだけ大豆に栄養を使っているということは、他の作物になんらかの影響があるのではないかと心配にもなる。大きく育つということは、その分養分を使っているのであって、バランスは悪いかもしれない。そう思ったのは、大豆の茂みに隠れているオクラが全く成長しないこと、3株あるピーマンがどれも葉が黄色く元気がないこと、つるむらさきも枯れてしまったことからだ。人間の生活も「バランスよく」が一番難しいのと同じように、畑も意識せずとも偏りが生じてしまう。人間が畑にできることは限られているけれど、バランスを考えられる畝を作れるようになりたい。

 

9月と言っても直射日光は厳しく、一度休憩した方が良さそうだ。ちょうど、遠くから小倉さんの「ご飯炊けたよー!!」という声が聞こえる。その声に引き寄せられるように室内に戻る。

 

汁講②
今日は昼ごはんに学生が「けんちん汁」を振舞ってくれる。料理が大好きなお母さんと一緒にこの日のために練習までしてくれたようだ。しいたけで出汁をとった汁は優しく、柔らかく煮込まれた具材の滋味と一緒にからだに入っていく。けんちん汁にまつわるものがたりを聞きながら、食卓は盛り上がる。汁を振舞う、「汁講」はただ人の家の汁を食べる以上の何かがありそうだ。「自分にはそのようなものがたりがない...」なんて悲観的になった人がいたとしても、ここの場がものがたりを生み出す場になるはずだからと声をかけたい。

 

どこまでが自然?

腹ごしらえを済ませたら、残りの種を育苗のためにセルトレーに播種する。
本来の自然農は畑で育苗するようだが、地力の関係や人間のエゴ(成功させたいという思い)によって、セルトレーとポットで育苗する。セルトレーも大きさによって利点と欠点がある。セルの数が多ければたくさん育苗できる一方で、土の量が少ないのですぐに温度が上がってしまって、根が焼けたり、土が固まって根が張れなかったりする。今回は72穴で挑戦する。培養土をトレーいっぱいに埋め、そこに被るくらいまで水を入れる。理想は培養土を使うのではなく、畑の土をベースにして、くん炭などで調整した土を使うと良いと聞いた。どこまで「自然」を追求するのか、人間力まで試されているような気持ちになる。

育苗の管理は大変で、少しでも乾きが続けば枯れてしまうか芽が出ない。毎日の管理が欠かせない。
渇きは大きな畑にとっても大敵だ。この暑さでは人が水を撒くくらいでは畑には足りないという。ゆっくりと長い時間をかけて雨が土に染みこむことで本当の意味で保水されたことになる。雨とは恵みと、むかしのお百姓さんに改めてささかれているような気がする。

上手く育苗ができれば、来月は定植作業をしたい。

 

文・松田理沙
 

写真

本日の種
20粒しかない粒から2000粒入っている粒まで
大根と春菊の種
混ぜて播種する
人参の仇を討つ
大根こそは発芽して欲しい
これは・・・?
大きく茂った大豆、かき分けると枝豆が成っている
大豆の幹
木のように太く成長した大豆
128穴セルトレー
同じ穴数でも若干の形の違いで生育にも違いが出る。右のトレーは体積と穴が小さいために上手く育ちにくい。
汁講②
けんちん汁と五分付き米、茄子の味噌炒め、オクラのサラダ(茄子とオクラは畑のもの)、さつまいもの甘煮w/神山すだち
本日の畝
大豆のインパクトよ!
2025/09/18

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