梅雨入りした畑は、じっとりとしている。
ちょうど雨の降らない時間に来られたのは幸運だった。
私たちの畝
私たちの畝の様子といえば、お世辞にも順調とはいえない!
定植したはずのサラダミックスは虫に完食されているし、播種したオクラと大豆の発芽率は25%以下!
育苗中の小松菜の苗も茎を残してきれいに葉だけ食べられている!!!バッタが飛び跳ねまわる豊かな緑の上では人間の方が不利なのかもしれない。
夏前には色んな種が混じるふさふさの畑を想像しているのに、どうなる・・・!?
種をまく時期が間違っていたのだろうか、調和のとれていない畝の使い方なのだろうか、と考える。
しかしショックを受けているばかりではない。
ちゃんと芽が出ている大豆とオクラの芽もある。オクラは発芽しにくい分、芽が出たものは上手く育ちやすいとも聞いている。大豆もしっかりとした葉を纏って上に伸びている。大丈夫大丈夫と思っていたのは私だけではないはずだ。
もしこれが、一人でやっている畑なら、簡単に挫折してしまっていたかもしれない。
が、仲間がいっぱいいると失敗もどうしても楽しくなってしまう。というか、この状況が失敗しているのかさえあまり分かっていないのだが、全くめげていないのは幸運だと思う。
今月の作業
芽が出ていないならまた種をまけばいいではないか!と簡単に考えて
大豆とオクラの種を芽が出ていないところに再度まいてみる。大豆は品種を変えたもので挑戦してみる。大体30センチ間隔で2粒ずつを7カ所まいた。来月の結果を楽しみにしたい。
先月、購入した苗を植えたひと株のトマトとナスは、少し葉が黄色くなっているところが見受けられるけれど一番花をつけて確実に成長している。
トマトは一番花のついている枝とその下の枝の2本を残して成長させていくのがよいのだそうだ。この2本は強く育ってくれるらしい。逆に下手に養分をいろんな場所に使わないようにその他は上手く間引いていく。
ナスの一番花はというと、まだ苗が小さいうちは養分を使いすぎないようにとってしまうのが良い。養分という意味では、なすは肥えた土を好むので、マメ科の植物を育てた後の窒素固定された肥沃な土で育てると相性が良いともいう。上手な畝の使い方というのを学んだ。
手仕事、梅仕事
畑仕事のあとには、梅仕事をする。この「一枚の畑」で採れた南高梅と白加賀の2種類を、梅干しと梅シロップにしていく。
梅干しはそれぞれが好きな塩加減に調整した。塩分濃度7%から15%までの個性豊かな梅干しの仕込みができた。私は南高梅を10%の塩分濃度で漬けた。早速梅が柔らかくなって梅酢が出てきている。毎日コツコツ揉みこんで、腐敗しないように手をかけなければいけない。来月には、赤紫蘇を入れるところまで持っていけるように、丁寧に世話をしようと思う。
暮らしのなかで工夫を重ねる手仕事は、毎年同じ時期に同じことを繰り返す地味な作業だ。毎年少しずつ更新されて、段々と「家の仕方」がみについていく。時間を重ねるように、確実に重なっていく手仕事の面白さを今日限りでなくて、細くても長く覚えていられるような暮らしをしたいと思った。
ひそかに今月の目的は「作ることから食べることの一体性の入り口に立つこと」だったので、よもぎを煮出したよもぎ茶を、寒天で固めるデザートに挑戦した。(材料のよもぎと寒天はどちらもメンバーの故郷から直送されたもの)
季節の素材をつかって寒天でデザートをつくっていくことが、畑の季節感と寄り添いながら「つくる」実践になるように、来月も再来月も考えようかとひらめいた。
農から食の世界へ、食から農の世界へ、
まだつながっているようでつながっていない。
理沙