長野県伊那市

老木の蘇生術

2020/05/19

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手仕事・技

平成(1989年〜2019年)

藩校 城址

信州の高遠城をご存知だろうか。桜の名所としても有名な場所だが、今年はCOVID-19の感染拡大防止策により立ち入り禁止になった聞く。今年も満開に咲き誇ったであろう桜が多くの人に見られることなく、喜ばれることなく散ってしまったのは残念だ。ところで、高遠には桜の老木を若返らせる「技」が伝えられてきたという。


高遠城址は伊那市高遠町にあるが、諏訪湖の南に位置し、おそらく諏訪信仰にとっても大事な場所であったと思われる。訪れたのは、2017年9月8日。城址に入りふらふらと歩いていると、写真のようにくねくね根が絡みついている木を発見。あたりを見回すと、同じように根がくねくね巻きついた幹が結構ある。そばに立てられていた解説を読むと、何と桜の老木を蘇生するために根を5年もかけて地面まで伸ばしたとある。幹から伸びてくる若木の根に壁土を塗りつけて地面まで誘導させたという。


幹から若木が出て、根が伸びることすら知らなかった。実際にどのように壁土をつけて伸ばしたのかわからないが、5年の歳月をかけて地面に到着させるとは、何と気の長いこと。きっと壁土の付け方などいろんな工夫があったのではないかと想像する。若木は老木の養分を吸って今も生きているという。


なぜかわからないが、くねくねした根をじっと見てしまう。造形的にも面白いし、そこから逞しい生命力も感じるからだろうか。来年、桜が咲く時期に高遠城址を訪れることがあったらぜひ見て欲しい。

また、そばには「進徳館」という高遠藩の藩校の一部が保存されている。孔子の像が祀られ、藩士の学問所であった由緒を今も辿ることのできる貴重な建物だと思う。こうした日本各地の藩校が明治から始まる近代学校制度に継承され、果たしていった役割についてももっと注目されても良いと思う。

桜の若木は、今も老木に生かされていることを知っている。

写真

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獲得地域遺産

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