地域 神奈川県横浜市保土ケ谷区

【20251205】横浜建築都市学「現場の思想」

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物語・伝説

令和(2019〜)

12月5日、私は由井さん、理沙さんとともに、横浜国立大学を訪れた。

 

横国大で開講されている公開講座、横浜建築都市学「現場の思想」。

今回は講座の2回目で、ささらプロダクションの「ものがたりをめぐる物語」(前編)を題材に、映画の上映と、監督の由井さん・モデレーターの多和田先生(横国大教授)・受講者との間で対話を行った。

 

スタジオ

講座が始まる前、打ち合わせのためにY-GSA(横浜国立大学大学院・建築都市スクール)のスタジオを訪れた。一つの白い大きな箱のようなスタジオ。中に入ると、ガラスで仕切られた会議室や高い天井があり、とてもスマートな印象を受けた。スタジオの中には、個人の机と共用の机、そして至るところに建築の模型が積み上がっている。個人のスペースはまるで秘密基地で、文系の大学院とは異なる雰囲気に少々憧れを覚えた。「建築をつくることは、未来をつくることである」という言葉を掲げるY-GSAのもとで、学生たちはどんな想いでものづくりに取り組んでいるのだろう。

 

上映

「ものがたりをめぐる物語」(前編)。私がこの映画を観るのは、今回で3回目になる。いつも全く新しい気持ちで観ているのだけれど、この日私がぼんやりと頭に思い浮かべていたのは、富士山のことだ。映画の中では、近代化の波とともに、富士山が地域に根差した存在から日本の象徴になったことが描かれている。私の地元は静岡県静岡市で、富士山の麓というわけではないが、小学校・中学校・高校全ての校舎の窓からはいつも富士山が見えていたし、家の周りからも富士山の様子がよく見える。言ってしまえば当たり前の存在で、いつもそこにあるもの、という感じだ。だからこそ、新幹線から富士山が見えたときの外国人の歓声や夢中でカメラを向ける観光客の様子には、富士山は静岡県の外に住む人々にとっては特別なものなのだということを強く感じさせられる。固有の風土と日本全体を土をならすように包み込んでいく文明。そのせめぎあいは、私たちの暮らしのなかの至るところに存在している。

 

対話

上映の後、受講者から感想を集め、それに沿って会場全体で対話が行われた。映画の感想から始まり、対話の話題は〈自然と人間との関わり〉に移っていった。自然と人間は相対するものか、はたまた共に寄り添いながら歩んでいく存在か。受講者からは様々な意見が寄せられた。普段自分のゼミで対話するときには「やはり人間と自然は共生すべきだろう」という前提が暗黙の了解的にあるので、「人間が何より重要な存在である」という意見を真正面から浴びると、少々打ちのめされる心地さえした。これはある側面からすれば、建築を学ぶということの特性と言えるかもしれない。景観に配慮した建物を設計しようとしても、それはやはり環境を人の手で変えていくことと同じであり、「風土に馴染む」ということとは乖離がある。そもそも建物を建てるためには、一定の広さの土地を切り拓く必要がある。

 

講義を終えて

しかしながら、いつもゼミの中で対話しているテーマについて、異なる分野の人の意見を聞くことはとても面白い経験だった。実際社会の中には様々な考えを持つ人がいて、自然を考えるときには、同じ地球に住む彼らのことも考えなければならない。それはとても難しいことでありながら、暮らし方を少しずつ変えていくためには欠かせないことで、異なる畑が持つ文脈を分かろうとする姿勢を大切にしていきたいと改めて感じた一日であった。

写真

講義の様子
由井さんと多和田先生
2025/12/11

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