2026年6月6日、諏訪市中洲にて開催されたニホンミツバチ講習会に参加してきました。
講師は『はじめての自然養蜂』(農文協、2022年)の著者である岩波金太郎(かねたろう)さん。
諏訪市生まれ、「か式研究所」主宰の68歳。
これまでセイヨウミツバチは「ラ式」「ホ式」、ニホンミツバチは「丸太式」「重箱式」といった飼い方が一般的でした。
岩波さんは新しい飼い方を2010年に開発し、「か式」として広めるための活動をなさっています。
私が初めて岩波さんのことを知ったのは、2023年につくば市で開かれたミツバチサミットでのこと。分科会で講師をされていた岩波さんの講義に、強く惹きつけられました。
それまでセイヨウミツバチとニホンミツバチの間には、深い溝がありました。
(飼い方も全く違うし、価格も大きく違う。セイヨウミツバチは家畜だが、ニホンミツバチは野生・野良)
そうした状況に一石を投じたのが岩波さんです。
「か式」という飼い方なら、セイヨウミツバチもニホンミツバチも飼えるということに、分科会の会場は熱気に満ち満ちていました。
そうして時は流れつつ、今年に入って岩波さんのことを思い出しました。
2025年まで約6年間、私はセイヨウミツバチの業界にいました。
10年前に長野県中川村で食べた、ニホンミツバチの蜂蜜の美味しさに感涙した時の衝撃が忘れられず、少しでもニホンミツバチを飼うことに近づきたいと思いました。
そうした経緯があって参加した養蜂講座。
参加者は、静岡・松本・茅野から集まった、私含め4名。
午前中は座学、午後は実際に巣箱を開けて中を見ながらの講習。
岩波金太郎さんの自宅周りにあるニホンミツバチの巣箱を見ていきました。
(巣箱の中を見ることを「内検」と呼びます)
養蜂経験があったり、現在も試しに飼い始めている参加者から活発な質問が出され、盛り上がりました。
ニホンミツバチが営巣しやすい場所についてもレクチャーがありました。
山林の沢沿いで、大きな樹があるなど目立つところに巣を作りやすいそうです。
キーワードは「川」とのこと。
講座の終盤には、諏訪郡原村の土地に置いているセイヨウミツバチの巣箱を見に行きました。
(岩波さんの祖父母のルーツの土地に巣箱を置いているそうです)
道中、岩波さんの軽トラに乗せていただき、いろんな話を伺うことができました。
岩波さんが養蜂を始めたのは、30年前で、初めてニホンミツバチの蜜を食べた時、「この世を蜜のあふれる里にしたい」と自然と思ったそうです。
定期的な養蜂講座を開いたり、著書を出したりすることで、その願いは実際に少しずつ実現しつつあります。
のべ約1万人に講座をしてきたそうですが、これまでいろんな人を見てきた中で、養蜂がうまくいく人とうまくいかない人の違いがあるとのこと。
うまくいく人は、『明るい』という共通点があるそう。
ところで、養蜂と言うと、自然界からの搾取というイメージもあるかもしれません。
私の関わったセイヨウミツバチの養蜂家さんは「蜂蜜は自然界の利子」とおっしゃっていましたが、春から夏にかけて蜜を絞り、秋から砂糖水を給餌し、越冬に備えるというのが一般的です。
一方でニホンミツバチの養蜂では、採蜜は一年に一回ほどで、夏前に絞り、夏以降に集めた蜂蜜で越冬分も補うというのが多数派です。
岩波さんは、アニマルウェルフェア(家畜福祉)の養蜂版「ビーウェルフェア」を提唱しています。
ミツバチたちの棲みごこちの良い環境を追求・探究した先に「か式」が生まれたそうです。
(ニホンミツバチの伝統的な養蜂スタイルでは、採蜜の時に多数の働き蜂・幼虫を犠牲にしてしまうというデメリットがあります)
養蜂講座が終わってから、私は諏訪地域の山林を調べ始め、巣箱を置ける場所を探し始めました。
(諏訪地域にお住まいの方で、山林を持っている知人がいらっしゃる方は、お繋ぎいただけましたら幸いです…!)
ゆくゆくは「か式」巣箱を使ってニホンミツバチ・セイヨウミツバチの両方を飼ってみたいです。
そうして周りの人に蜂蜜のおすそ分けをして、味覚・嗅覚から風土の豊かさをビリビリと衝撃として受けとってもらいたいなぁと思っています。

時を旅する 多摩丘陵 明治元年~|土曜日の会 第6話
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ものがたりをめぐる物語